センター日記

【津和野の夏】夜に響く鷺舞の音──舞手として生きるということ

投稿日:2025年07月18日

日本遺産センターマネージャーの畔柳です。今回のブログでは、いよいよ明後日に迫った鷺舞について、舞手のインタビューと共に鷺舞の魅力をお伝えします。

津和野に根づく神事「鷺舞」とは?

津和野の夏の風物詩といえば、やはり「鷺舞神事(さぎまいしんじ)」。
毎年7月20日と27日には、弥栄神社を起点に、町の伝統的な町並みの中を鷺の姿に扮した舞手たちが優雅に舞いながら練り歩く風景が広がります。

この神事には、町の酒蔵や商店の方々、地域に暮らす人たちが参加し、それぞれ舞手・囃子方(はやしかた)・警護役などを務めています。
400年以上続くとされるこの神事は、「津和野百景図」にも描かれるほど、地域に根づいた伝統です。

第17図 鷺舞い

普段は見えない、「裏側」の鷺舞

実は筆者も、津和野に移住して間もない頃に、裃(かみしも)姿で警護役として参加した経験があります。
町で観光として見る鷺舞と、実際にその内側に立って感じる鷺舞の姿はまるで違い、神事としての厳かさや、準備に関わる人々の思いを肌で感じる機会となりました。

今回は、その鷺舞の「稽古」を見学させていただきました。
町の人たちの仕事が終わった夜、会場のひとつである御旅所(おたびしょ)に集まり、夕暮れの中で練習が始まります。
本番とは異なり、簡易な衣装と道具を使いながら、当日の流れや動きを確認していく様子は、静けさの中に緊張感が漂う時間でした。

舞手インタビュー:永田城治さんに聞く、鷺舞と向き合う日々

練習後、鷺舞の舞手として活躍し、町でレストランも営まれている永田城治さんにお話を伺いました。

Q. 鷺舞に関わるようになったきっかけは?

自分が生まれたのが、津和野の町から少し離れたところだったので、子供の頃に鷺舞のことはよく知りませんでした。大人になって町で働くようになって鷺舞を知り感動して、せっかく住んでいるならやってみたいと思うようになりました。

Q.どうやって鷺の舞手になられたのですか?

鷺の役をやりたいと当時の鷺舞保存会の方々に立候補しにいったところ、最初からは難しいということで鐘の役から始めることになりました。その後に今の鷺の役を始めました。始めてからだともう15年以上になると思います。

Q.実際にやっていて鷺舞の振り付けの中で難しい部分はありますか?

ほんの少し首を動かしただけで、長い鷺の首の角度が変になってしまいます。できるだけ上から吊られているような真っ直ぐした姿勢を保てるようにするのが難しいです。

Q.舞手として鷺舞の良いところや見所を教えてください。

やっぱり弥栄神社の境内でやる場面がよいと思いますね。鷺舞みたいな神事は昔ながら変わらず続けられてきて決して効率的ではない活動かもしれないですが、自分も含めて毎年毎年当たり前に続けてきて、気づいたら歴史の1ページみたいになっているようなところもあるんじゃないかと思っています。

興味のある方はぜひ、ご参加を

鷺舞保存会では、鷺舞に参加したい方を募集しているとのことです。月一度の練習と7月20日27日の鷺舞当日に出席できる人であれば地域を問わず参加できますので、もしご興味ある方がいらっしゃいましたら日本遺産センターまでお問い合わせください。

また、日本遺産センターでは鷺舞の企画展示も実施中です。
歴史や舞の背景をより深く知ったうえで、実際に舞を見ると、また違った感動があるかもしれません。


稽古の静けさ、本番の熱気、町の人の想い──そのすべてを、ぜひ体感しにきてください。

津和野で、日本遺産センターでお待ちしています!

コンシェルジュ集合写真
コンシェルジュ集合写真
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