津和野百景図に数多く描かれていて、城下町津和野のシンボルの一つであるのが、青野山です。
青野山は、お椀を伏せたような丸い優美な山容が特徴的です。360度どこからも見てもまぁるいその形を、地元では妹山(女性的な山)とも呼び親しんできました。たおやかな風情を町のあちこちでお楽しみください。
津和野町日本遺産センターを出て、向かいの駐車場から眺めてみると、まんまる帽子の青野山が現れます。
青野山は短期間の火山活動でできた溶岩円頂丘で、マグマが地下から噴出して、そのまま固まったものと考えられています。
青空と赤い石州瓦とのコントラストは見事です。
伝統的な町屋が立ち並ぶ本町通り。筋からひょっこり顔を出す青野山を眺めていると「この山が街を見守っているんだな」と実感できます。
「七浦めぐって魚がなけりゃ銭金もって津和野にござれ」と歌われた津和野城下町。江戸時代、高津川より西の長州藩境までが津和野藩領で、漁港もあった。
満載の魚を担いで山道を登り、城下町へ搬送していたため、この山国にも魚が集まっていた。
魚丁は魚の市場があり、また歓楽街としても賑わっていた。
町の西部には、寺が多く集まっており「寺町」と呼ばれていた。現在も永明寺など6寺があり、城下町でもさらに落ち着いた雰囲気を醸し出している。
シーズン中はSL「やまぐち」号が、間近で見られるスポットとしても人気が高い。
吉見・坂崎・亀井家、歴代津和野城主の菩提寺であり、森鷗外が眠る墓所としても知られる古刹。
森鷗外の墓所がこの地に建てられたのは「青野山が一番美しく見える場所で眠ってもらいたい」という思いもあったから。
永明寺には藩主がくつろぐ部屋があり、庭園を眺めながら煎茶を嗜んでいた。部屋から眺める庭園も見事だが、池を渡って振り返ると、青野山を借景にした新しい表情が見られます。
(この景色を見るときは、拝観料が必要です)
青野山周辺の火山灰土で育った里芋は、きめ細かで舌にまとわりつくようなスムーズな口触りが絶妙。特に「笹山の里芋」はもはやブランド。
旬の秋には「芋煮会」が催され、炙り鯛でダシをとった津和野の芋煮はシンプルだが、味わい深い。
日本三大芋煮の一つにも数えられ、全国にもファンが広がっている。