投稿日:2016年12月02日
筆柿という柿があるのを初めてこの百景図で知った。
この絵を見た益田の人が「あっ、これは戸田の柿本神社にあるよ」と言われたので秋になるのを見計らって行ってみた。
益田の持石海岸を過ぎてすぐの所、左に田んぼが広がっているが、そこに戸田柿本神社の案内板があった。
田んぼの一本道を振り返ると、揺れるコスモスの先、青い海原に高島が浮かんでいるのが見えた。
ここはなかなかいい景色である。
191号線から1キロぐらい入っただろうか。赤い鳥居が見え、小さい谷川の前、駐車場がある。
小さな階段を上り詰めると、立派なお社が目に入ってくる。
92図で紹介したあの彫り物がある神社である。
筆柿はどれかというと、本殿の前右側に立っていた。が、柿はというと葉っぱばかりで見えないのだ。
何だ実はないのか、と思いきや近づくとあったのだ。小指の先ほどの小さな柿。
これが筆柿の正体だったのだ。熟れると、先に墨がついたように黒い色がつくという。
それはまだなかった。何日か経ってまた行ってみると、葉が散っていて実がよく見えた。
柿の木の下に、天から突然降臨したという伝説がある人物、柿本人丸。
近くには遺髪塚もあり、連綿と社を守り継いでいる綾部家のお宅もある。
時にはゆっくり高津の地で、人丸の足跡を訪ねてみるのも面白いかもしれない。人丸は謎に満ちた人物である。
因みに筆草というのもあるが、これは一般的にはこうぼう麦。
「弘法(こうぼう)筆を選ばす」というぐらいだから、弘法と筆は切っても切れない関係。
コウボウムギとはよくつけた名である。