投稿日:2016年11月24日
青原の駅に佇む旅人。
笠を上げ遠くを見上げている。
そしてその前の馬、首を曲げて前足で、あごの周りを擦っている。
この人と馬、このポーズ、どこかで見た覚えがある。
そうだ第88図徳丈の峠だ。ページを目繰り返してみると、あれれ全く同じだ。
馬方は違うが馬の姿、恰好、人との重なり具合、大きさ、旅人のポーズ、判で押したように似ている。
これは一体どういうことなんだろうか?
百景図には時々似た人が出てくるが、これほどぴったり重なるのものはない。
峠から下りてきて、その峠を振り返って見るのは分かるにしても、大きさまで同じにするとは。
中央の馬方の尻にも何ともユーモアを感じるが、この絵は格斎さんの遊び心満載の絵である。
まるで幕末編ウォーリーを探せである。
この尻の前に高津川が流れており、青原は陸上交通から水上交通への接続点として、
昔は大いににぎわった場所なのである。川向う添谷には水上交通の守り神金刀比羅神社もある。
この通りは、気性の荒い馬方、舟方の怒号が飛び交ったということで俗に「喧嘩横丁」とも呼ばれていた。
今は前の国道9号線がメイン道路となり、この通りは静かに昔日の面影を残している。
後日談 まあよくよく見ると太ももの膨らみ具合や、足に履いているもの、腕につけているもの
帯の結び方など微妙な違いがある。だが人も馬もポーズは瓜二つである。