投稿日:2016年10月30日
美しい雉が描かれている。
手前左は雉の雄である。
胸の深い青緑と目の周囲の赤。
尾の長いのが特徴である。
では右はというと、これは雉の雌?ではなくヤマドリの雄である。
共に雄同士。空を飛んでいるのは雉の雄であるが、雉の飛ぶ姿はなかなか珍しい。
我々が見るのはほとんど藪の中を走る姿だ。本気で走ると時速32キロメートルぐらいはいくらしい。
雉という名は矢のように飛ぶ鳥、ということからきているらしいが、どちらかというと
走にょうの方がふさわしい。雌は茶色であまり目立たない。キジ猫はこの色からついた
ということだ。雉は現在国鳥になっている。
ヤマドリは、あの歌聖の人麻呂が「あしびきのやまどりの尾のしだり尾の」と詠んだぐらいで
尾が長いのが特徴。山に住むといので普段なかなか見かけない。
この二つの鳥はどちらも美しいが、すごいのは味のほうらしい。(私は食べたことがないのだが)
これを食するために、殿様はわざわざ殺生方に飼い付けさせて、駕籠に乗って猟に来たということだ。
周りの苦労を思うと、この絵もきれいですねなどと呑気には言っておられない。