百景図よもやまばなし

第75図 松尾谷のきじ

投稿日:2016年10月30日

美しい雉が描かれている。

手前左は雉の雄である。

胸の深い青緑と目の周囲の赤。

尾の長いのが特徴である。

では右はというと、これは雉の雌?ではなくヤマドリの雄である。

共に雄同士。空を飛んでいるのは雉の雄であるが、雉の飛ぶ姿はなかなか珍しい。

我々が見るのはほとんど藪の中を走る姿だ。本気で走ると時速32キロメートルぐらいはいくらしい。

雉という名は矢のように飛ぶ鳥、ということからきているらしいが、どちらかというと

走にょうの方がふさわしい。雌は茶色であまり目立たない。キジ猫はこの色からついた

ということだ。雉は現在国鳥になっている。

ヤマドリは、あの歌聖の人麻呂が「あしびきのやまどりの尾のしだり尾の」と詠んだぐらいで

尾が長いのが特徴。山に住むといので普段なかなか見かけない。

この二つの鳥はどちらも美しいが、すごいのは味のほうらしい。(私は食べたことがないのだが)

これを食するために、殿様はわざわざ殺生方に飼い付けさせて、駕籠に乗って猟に来たということだ。

周りの苦労を思うと、この絵もきれいですねなどと呑気には言っておられない。

  

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