百景図よもやまばなし

第67図 鳴滝は音を観る滝

投稿日:2016年10月15日

こんないい滝が町なかにある。

実は65図の横堀の所にも小さく出ていた。

道路の家並みの後ろ山の麓にちゃんと描かれている。

今は鉄道山口線の土手が邪魔をしているために、鷗外屋敷からは見ることができないが近くにあることは確か。

鷗外生家の近く、キヌヤ駐車場から歩いてわずか5分の所にある。

鉄道の土手を超えるとざざーっという滝の音が響いてくる。

何とも心地よい響き。「ここに滝がありますよ」という存在感。

鳴滝という名の如く音のきれいな滝である。大きな銀杏の木の先にある。

側に大きく暗い穴蔵があるのは百景図と全く同じ。さすがに蝙蝠は飛んでいないが。

最近まではいたということである。小さい祠があって覗いてみると金剛杵を持った

素朴な石の仁王さん。仁王さんというからには、二体であるはずだが、なぜか一体である。

そんなことで初め、御不動さんと間違えてしまった。

滝の水は澄み切っていて、地元の人が滝壺から何本もパイプを引いている。

生活用水として、夏はスイカを冷やしたり、冬は大根を洗ったり今でも活躍している。

かなりの水量があり、大水が出た時はこの辺り一帯大変なことになったことだろう。

外堀ができてどんなにか多くの人が救われたに違いない。

実はこの外堀は館の護りというより、湿地帯から水を抜くために造ったのだ。

町方が多くの費用を出して造った。その結果できた田が町方の田、町田という地名になった。

その町田にあるこの鳴滝。鷗外生家を訪れた人は、是非ここに立ち寄っていただきたいと思う。

土日なら、この土手からSLが間近に写せるのも隠れた魅力である。

  


左は今の鳴滝。

別世界に来た気分になる。

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