投稿日:2023年07月24日
藩主玆監公の正室・貢子君の永明寺参りの列である。
季節は夏であるが、注目したいのは付き人の女性たちの
衣装である。
正式参拝ということで彼女たちの衣装も礼装である。
腰に黒くて長い棒のような、筒のような帯がついている。
格斎さんは筒帯と言っているが、一般には提帯(さげおび)。
どうして筒状なのか調べてみると、実はこの筒に上に着ている袷の袖を通して架けるというのだ。
冬ならばうちかけを。いわばハンガーのような状態になる。
成程。単なる飾りではなかったのだ。
この帯黒の無地かと思いきや、なんとそれぞれに織の模様が入っている。
こんなところにも、小さなこだわり(おしゃれ)が見え隠れする。
顔も見ると松茸狩りの時と違い、白粉を塗り小さな眉を描いている。
髪は結わないで、おすべらかし状態である。第12図の神社参りとはえらい違いである。
もう一つ驚いたことがある。
ここの御女中みんな着物の袖から手を出していない。
格斎さんの手抜か、と思いきゃ
実は当時正式行粧の場では手を出さないのが当たり前だったのではなかろうか。
そういえば12図でも女性は手を出してはいない。(韓国の宮中ドラマでも女性は手を出してなかった?)
明治の初めごろも、和服の女性は手を出さないで写っている写真がある。
わざと出さなかったのか、自然に手は出なかったのかちょっと謎である。
まあ何はともかく、城下の人々もこの姫様の行列にはさぞたまげたことだろう。
貴重な一枚である。