センター日記

【今しか見られない】歴史を未来へつなぐ、津和野城跡「令和の石垣大修理」

投稿日:2026年03月13日

島根県を代表する名城、津和野城跡。雲海に浮かぶ姿から「天空の城」としても知られますが、現在その中枢部では、数十年に一度の歴史的プロジェクトが進行しているのをご存知でしょうか。

平成9年の地震以来、長らくブルーシートに覆われていた二ノ丸の石垣。いよいよ令和6年度より、本格的な修理工事が始まりました。

山城ならではの「執念」が生んだ仮設階段

標高362mの山頂に位置する津和野城跡での修理は、容易ではありません。 重機や資材を運ぶため、西側の山麓から工事専用道路を新設。さらに、貴重な石段の遺構を保護するために盛土を行い、その上に作業道を築いています。

特に注目していただきたいのは、見学者のために設置された延長約140メートルに及ぶ仮設階段です。この険しい山城を維持し、公開し続けるための現場の熱意が感じられるはずです。

工事前に設置した仮設階段

石垣を守るため、断腸の思いでの伐採

廃城となった明治初期から百数十年。石垣の上には、モミジやケヤキが根を張り、見事な大木へと成長していました。 しかし、逞しく伸びた根は石垣を押し広げ、崩落を招く大きな原因となります。

伐採された石垣上の紅葉

「石垣という文化財を未来へ残すために」 苦渋の決断としてこれらの大木を伐採し、本来の城の姿を取り戻す作業が進められています。

「一度解体する」という緻密な手仕事

現在、現場では石垣を一度解体する作業が行われています。 単に積み直すのではありません。石材一つひとつの形状や位置、背後の土の状況を詳細に記録し、発掘調査を並行しながら進められます。

  • 石の声を聴く: 歪みや崩落の危険を読み解き、江戸時代の石積みの技術を再確認する。
  • 記録を刻む: どの石がどこにあったのか、パズルのような精密な作業が続きます。

観光リフトで、歴史の「裏側」へ

工事期間中は一部立ち入りが制限されますが、「修理中の石垣の内部」を間近に見られるのは、長い歴史の中でもこの数年だけです。

山頂へは観光リフトで手軽にアクセス可能。リフトを降りて本丸へ向かう道中で、まさに今、歴史が修復されている現場を目の当たりにできます。

津和野を訪れた際は、ぜひ山頂まで足を伸ばしてみてください。そこには、400年前の石積みと、それを受け継ごうとする現代の情熱が交差する、特別な景色が待っています。

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