投稿日:2026年02月15日
津和野百景図第16図に描かれた弥栄神社の傍らに、松とは異なる力強い一本の樹木が描き込まれています。
これこそが、町の歴史とともに歩んできた町指定天然記念物、「弥栄神社の大欅(けやき)」です。

この大欅の歴史は、室町時代まで遡ります。
大欅が鎮座する弥栄神社は、観光のメインストリートである殿町通りから、日本五大稲荷の一つ・太皷谷稲成神社へと続く参道に位置します。 古くから人々に親しまれてきたこの場所ですが、時代の移り変わりと共に、木には過酷な環境となりました。
令和6年秋、この歴史の証人を次世代に繋ぐため、大規模な保全作業が行われました。
将来的な倒木や裂傷を防ぐため、横に大きく広がった重い枝を伐採。若い枝へ力を分散させる処置が施されました。現在は、裂け防止のベルトや強固な支柱によって支えられています。


冬の時期は少し寂しげな姿に見えるかもしれませんが、それは「次の100年」を生き抜くための準備でもあります。春になれば、蓄えた生命力が鮮やかな新緑となって芽吹くことでしょう。
樹木は「生き物」であり、人間が完全にコントロールすることはできません。しかし、敬意を持って接することは誰にでもできます。
大欅のそばを通る際は、そっと一歩離れて歩く。
そんな小さな気遣いも、立派な文化財保存の形です。次に津和野を訪れる際は、ぜひ弥栄神社に足を運び、600年の風雪を耐え抜いたその幹の質感、そして百景図から続く歴史の息吹を、あなたの目で確かめてみてください。