投稿日:2022年08月11日
津和野永明寺にあるこの墓は誰の墓かご存知だろうか?
森林太郎の墓、まれに若い観光客は「シンリンタロウ?誰ですか?」と問う。
冗談ではない!この墓こそ、かの有名な明治の文豪、森鷗外先生の墓なのである。
林太郎は彼の本名なのだ。
彼は死に臨んで、こんな遺言をのこしたのだ。
「余は石見人、森林太郎として死せんと欲す。墓は森林太郎墓の他一字も彫るべからず」
(一部省略)
明治の文豪、文芸界の重鎮と呼ばれ、陸軍軍医総監まで勤めあげた彼だが、死に際、全ての肩書を捨て去り、一人の石見人、森林太郎の死としての墓を望んだのだ。
なんと潔い、なんとさっぱりした生き様だろうか。
大きな仕事をしておきながら、なにもなかったかのように去っていく。
これぞ石見人の鏡。
森林太郎。
目立たない小さな墓であるがゆえに彼の偉大さが光る。