投稿日:2026年02月23日
初詣や初午といった神事が立て続いた年始が終わり、春が待ち遠しい津和野です。今回はそんな行事が盛りだくさんだった津和野の神社がテーマです。津和野には、初詣や初午で多くの人が訪れる太鼓谷稲成神社や流鏑馬神事で有名な鷲原八幡宮、鷺舞神事を行う弥栄神社等、現在も神事が受け継がれてきた神社が多く残されています。島根県は人口あたりの神社の数が多い県と言われています。その一方で津和野町では、人口減少のため維持できる神主さんが少なくなっており、一人の神主さんが兼務して抱える神社が多くあります。そんな中で津和野から東京の大学に進学し、一昨年に津和野に帰ってきた宅野さんにお話しを聞いてみたいと思います。

神社のお正月は、実は十二月のうちから始まっております。新年を清らかな心でお迎えいただけるよう、境内の清掃や正月飾りの設え、おみくじ・御朱印の準備などを進めてまいります。年が明けますと各集落、氏子の皆様が神社にお集まりになります。そこで一年の健康や安寧、五穀豊穣、家内安全をご祈念する、新春祈願を斎行いたします。本年は三が日に五ヶ所の神社をまわり、各集落の皆様とともに新たな一年の無事を祈りました。正月は神職にとって最も大切な時期でございます。

神社の清掃と整備をしています。境内を掃き清め、社殿を整え、傷みがあれば修繕する。それは神職にとって最も基本であり、最も重要な務めのひとつです。こうした務めは、鎌倉時代の御成敗式目に記された「神社を修理し祭祀を専にすべきこと」や、江戸時代の諸社禰宜神主法度にある「神社は、懈怠なく掃除を申しつくべきこと」にも見られるように、古くから受け継がれてきました。今もなおその精神は変わりません。前述のお正月以外の時期などは、年間の祭事や行事に向けた準備を行っています。私の場合、鷲原八幡宮をはじめ町内約30社を兼務しておりますので、一年を通してさまざまなご奉仕があります。

神道の葬儀は「神葬祭(しんそうさい)」といいます。現在はお寺での仏式葬儀が一般的ですが、津和野町では神道式の葬儀も今なお行われています。これは、津和野藩主亀井氏が神道を大切にし、多くの武家が神道を取り入れた名残です。今でもその伝統が受け継がれており、津和野の特徴の一つともいえます。仏式ではお経をあげますが、神道ではお経は唱えません。代わりに、その方の生涯や功績を読み上げ、感謝と敬意をもってお見送りします。
また、亡くなった方は仏様になるのではなく、神道では、「家や子孫を見守る“守り神”」になると考えます。

母校津和野高校の魅力化コーディネーターとしての活動を行っています。高校は県外からの生徒も多く、津和野に興味関心を持ってくれています。生徒の皆さんには津和野でしかできない経験をしてもらい、高校卒業後も何らかの形で町と関わりを持ってもらえたらと思っています。
そのほかには、島根県の伝統芸能である石見神楽も5歳の頃から続けており、現在も舞い手として活動しています。また、実際に神楽で使用する神楽面の製作も趣味で行っています。神楽は私にとって生活の一部であり、なくてはならない存在です。
津和野のこと、そして神社のことを、もっと多くの方に知っていただきたいという思いから、これまで十分にできていなかった情報発信を始めました。SNSやホームページを通して、日々の神社の様子や津和野の魅力をお伝えしています。また、本年は新しい御朱印や破魔矢づくりにも取り組んでおります。時代が変わっても、祈りの心は変わりません。そのかたちを少し工夫しながら、ご参拝の記念やご縁のしるしとしてお受けいただければ嬉しく思います。観光で津和野を訪れてくださるその時間が、神道や、この地に根づいてきた祈りの文化に触れるきっかけとなれば幸いです。