投稿日:2026年01月16日
津和野城跡といえば、山の稜線に沿って連なる高石垣(たかいしがき)。
訪れるたびに壮大で美しい姿に圧倒されますが、手をかけず自然のままに任せると、草木などが繁り、やがて山の一部に埋もれてしまいます。景観を保つには、見えないところでの地道な管理が欠かせません。

城跡の景観維持のため、石垣の上面・斜面の草刈りを継続実施。さらに、夏と冬の年2回は「石垣面(石の表面)」そのものを清掃します。
といっても対象は草だけではありません。つた・小木・苔・落ち葉など、石の目地(すき間)や表面に絡みつくものを一本ずつ丁寧に除去します。
作業場所は急勾配の高石垣で、落下の危険が伴うため、専門業者がロープやはしごを用いて安全対策のうえで実施。こうした多くの人の労力と技術によって、今日も津和野城跡の石垣は壮大な姿を保っています。
※石垣は樹木の根が入り込むと、石を押し広げて崩れの原因になります。清掃は「美観」だけでなく保存の要でもあります。

清掃後の石垣は、積み方の特徴(石面・間詰め・勾配など)が読み取りやすくなり、測量の前準備にもなります。現在、城跡全域で石垣の現状把握を目的とした測量を進行中。
測量は専門業者による写真測量(高精細写真データから歪みを補正)が中心で、必要に応じて3次元レーザー測量(石の凹凸をミリ単位で計測)を併用します。これらの成果は、大地震時など万一の崩落に備える記録としても有効です。
2025年度は「二ノ丸」石垣を主対象に、詳細清掃と測量を実施。二ノ丸には城内で最も高い約10mの高石垣があり、かつて三重櫓(さんじゅうやぐら)が建ち、時刻を知らせる太鼓(時打太鼓)が置かれたことから、別名「太鼓丸」とも呼ばれています。
※「二ノ丸」は本丸を守る主要曲輪(くるわ)。石垣の高さや櫓の配置は、防御と威容を示す重要要素でした。
津和野百景図の**第一図「三本松城」**には、山上に展開する城郭と石垣の威容が描かれています。絵図を手に現地を歩くと、過去の姿と今の石垣が重なり、保存の意味がより実感できます。

保存の現場に思いをはせつつ、ぜひ秋冬の城跡へ。
そして散策の前後には、津和野町日本遺産センターにもお立ち寄りください。百景図や歴史解説、石垣の見どころ案内をご用意しています。見て歩くほどに、城跡の“守られてきた時間”が立体的に感じられます。
