投稿日:2016年10月21日
松林山は地元では天神山と親しんで呼んでいる。
学問の神様菅原道真公を祀る神社、天神様のお宮がある所である。
津和野駅から国道9号線を上がると、右折して約200メートル先、山側に小さな参道が見える。
青野がわらへの登山口でもある。
この絵を見ると鳥居の下は田んぼが広がっているが、現在は杉林になっている。
林の中に、昔棚田であったことを思わせる石垣が何段も見える。
その先を過ぎると、梅の木や紅葉の木々が何本も植えてある、広々とした段上の丘が見えてくる。
この木の下でにぎやかに花見をしたり、紅葉狩りをした昔の人々の姿が目に浮かぶようである。
腰をおろしてみると、眼下には静かな津和野の街並みが望め、眺めのいい場所でもあった。
この神社に芋煮会の奉納絵があったが、この木の下でそんな賑わいもあったに違いない。
この辺りの景色はまさに格斎さんの絵と同じである。
さて、石段をあがってみてびっくり。鳥居が異様に低い。
みると脚の部分がすっかりなくなり、残りを土に突き刺して立ててあるといった有様。うーん。
さらに登ってみると、入り口になんと立派な狛犬。
まるで獅子舞の頭のようである。大きな目、鼻、口、歯並び、なんともユーモラスである。
広場には拝殿と本殿、舞殿?(倉庫)が古いけれどもつつましく建っていた。
はずれには大きな手水盥の石や由緒書きの碑があり、この神社の威厳を物語っている。
拝殿に奉納している額には学問の神様らしく、和歌や習字、36歌仙の額なども掲げてある。
誰もいない静寂の中でお参りを済ませ、階段を下ったが、下りる時にまたびっくりしたことがあった。
なんとこの辺りでは見たことのないコウヤマキの木の大樹。
上るときは足元ばかり見ていて気が付かなかったがこれはすごい。周囲3メートルはあるだろうか?
モミの木もあったが、この木は高さも姿も他を圧倒していた。格斎さんの絵にはないので
明治以降の木なのかもしれない。
見事な大樹で、このお宮はこれを見るだけでも来た価値は十分にある。
裏寂れてはいるが、梅の季節、紅葉の季節には是非訪ねていただきたいスポットである。
因みにこの絵であるが、鳥居の上にちょこっと神職らしき人が描かれている。
この前の私みたいだが、一人置くだけでこの絵に人の息遣いが感じられてほほえましい。
実に立派なコウヤマキ。立居姿が凛としてる。
ほれぼれするような美しさである。
なんともおかしい狛犬。
これほどの目、口は珍しい。