百景図よもやまばなし

第31図 常盤橋は美しい

投稿日:2016年07月31日

常盤橋は絵を見る限り

大橋と変わらない立派な

橋である。どちらかというと

こちらが大きく見えたりする。

私が子供の頃、今から50年ぐらい前は

赤い吊り橋となっていたが

それはそれでまた風情があった。

学校の帰り道、わざわざ道草をしてこの橋を渡ったものだった。

その時、橋のたもとには、この絵のような大きな松もあったような気がしていた。

なんと最近になってそれと思われる松に出会った。

輪切りになってはいるが、番所前の松ということで

鴎外記念館に展示してあったのだ。

懐かしくて思わず触ってしまったが、昔の友人に再会したような気がした。

展示の松は鴎外側のものか、西周側のものか定かではないが、

鴎外が少年森林太郎の時代に目にした松には違いない。

鴎外の生家は、この絵の松の向こう三軒目ぐらいにある家だそうだ。

現在の常盤橋は鉄の小さな橋となり、昔の風情は全くなくなってしまった。

寂しい限りである。

  

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