百景図よもやまばなし

第22図 気になる侍

投稿日:2016年07月12日

この絵を最初に見た時、これは殿様のお忍びに違いない

と思ってしまった。

この顔つき、鼻筋といい、頤の風格といい

高貴な面持ちだ。

百景図にはいろんな武士が出るが、

これほどの風格を持った武士はいない。

98図御旗上覧に登場する殿様と横顔がよく似ている。

後ろに控えている裸足の小者は、草履持ちである。

横にいる女性は、藩邸の庭に咲いている花菖蒲を手にしている。

誰もかれも手に入るものではない。

橋の上では裃を着て正装した侍が待っている。

上司と出会えば下の者は待たなくてはならない。

この絵の主人公のような人だが、格斎さんは解説に名前を記していない。

記す必要はない、亀井家なら誰もが知っている玆監公だから。

そういうことで、玆監公の城下のお忍び歩き、それに違いないと確信してしまった。

だがそれは、やはりテレビの観過ぎだったようである。(暴れん坊将軍?)

皆さんはこう言う。

殿様の衣装にしては粗末だねー。

第一供侍がいないのは考えられないよ。物騒で歩けやしない。

この女性の身なりは町方の人でしょう。そんな人を連れて歩くかなー。

いちいちもっともで否定はできない。

ということで殿様の忍び歩きは一時おあずけになった。

格斎さんの解説の中にちらっと出てくるのは、牧家である。

「牧家の二人にゃ女房がない」と。若しかすれば家老牧家の関係者なのかもしれない。

牧家は唄に歌われるぐらいだから、皆に親しまれていたようだ。

いずれにしてもこの絵は、いろんなストリーが生まれる面白い一枚である。

ちなみにこの松、現在のものとそっくりだが実は二代目だろうといわれている。

もし昔のものなら今の1.5倍は太さがほしいところだ。

  

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