百景図よもやまばなし

第14図 錦川のいだ

投稿日:2016年06月30日

錦川とは津和野川のことである。

今はあまり言う人もないが、実は錦川という

れっきとした名があったのである。

我々は昔、津和野中学校の時代、校歌でよく歌っていた。

「さくら花 散り敷く春や 秋はまたもみじ綾なす

錦川流れとともに ひろびろとわだつみかけて

伸び行かん 我ら友どち」いい歌だった。

作詞はなんと森鴎外の長男さんの森於菟(もりおと)氏だった。

その頃もこの景色と同じ錦川にはいだが群れていた。

大橋の下は、30センチオーバーの大いだの群れで黒々としていた。

数千匹はいた。パンを投げると水しぶきが上がり魚体が舞った。

それは当時、当たり前の日常の風景だった。

だが今こんな話をすると誰も信じてくれない。

いだもいなくなったが当時の様子を知る人も少なくなった。

格斎さんもこんな景色がなくなろうとは夢にも思わなかっただろう。

  

共有: